この記事では
- 円高・円安になるとどんなことが起こるの?
- 日本にとって円高・円安はどっちがいいの?
- 貿易・物価と関係しているってどういうこと?
円高・円安のことはなんとなくわかったけど、結局は円安・円高になったらどうなるの?ということや、円高・円安どっちが日本にとっていいのか?ということについて知りたい方に読んでいただければ幸いです。
ぜひ、参考にしてください!

円高・円安を深掘りしていきますね。
基礎編はこちら↓↓


景気を語る!GDPについてや円安・円高は何によって決まるのか?については↓↓


円高・円安になると起こること


では、実際、円安や円高になるとどうなるのか説明していきたいと思います。
まずは基礎編でも説明しましたが、円高と円安にを簡単に説明すると以下のようになります。
- ドルに対して、円の価値が相対的に低くなった(円安)
- ドルに対して、円の価値が相対的に高くなった(円高)
では本題に入っていきましょう。
円高になると起こること



円高が続いたらまずいって聞いたことあるんですけど、どういうことですか?円の価値が高いならいいことありそうなのに・・
私もそう思ってました。はい。
これについては自動車輸出会社の輸出を例を挙げて説明していきましょう。
設定:日本の自動車輸出会社 と アメリカの自動車輸入会社 があるとします。
日本の自動会社が車1台1000万円でアメリカに売っているとします。昨日までは1ドル=100円でした。しかし、今日は1ドル=90円となり「円高」になったとします。
昨日までなら、1ドル=100円としたとき、アメリカは10万ドルで1000万円の日本車を買えますよね。
それが、「円高」になったとき、1ドル=90円になるとアメリカは約11万ドルで1000万円で日本車を買わなくてはいけなくなります。つまり、1万ドル多く支払わないと車が買えないわけです。



え?それってアメリカが嫌がりませんか?



嫌がるでしょうね。
つまり、1ドル=100円から1ドル=90円の円高になるとアメリカは日本車を買うのに今までより、1万ドルも損をしてしまうから、日本車を買わなくなってしまうという現象が起こってしまいます。
しかし、日本も車が売れなくなったら困ります。ですので、日本の自動車会社は仕方なく車を安く売ったりするようになります。



少しでもアメリカに車をたくさん買ってもらうようにするためですね。
ただ、問題も発生します。それは・・車を安くしたらそのぶん日本の自動車会社の儲けが減ってしまうのです。
このように円高が進むと日本の輸出業者(自動車会社など)はどんどん経営が厳しくなってしまいます。会社が潰れてしまうという危機的状況にもなりかねません・・。
ですが、会社も倒産するわけにはいかないので、円高で儲けが減ったぶんはできるだけお金を使わないように努力します。
方法としては、社員をクビにしたり、海外に工場を作って現地の人たちに安い給料で働いてもらったりします。



海外の人たちの給料って安いんですか?
日本は物価(モノの値段)が高い国として知られています。日本人の給料は海外に比べたらとても高く、日本人1人分の給料は中国では20〜30人の給料と言われています。
また、円高の時は円の価値が高くなっているため、海外の人たちに払う給料は少なくて済みます。
こういったことを行い、なんとか会社は生き延びますが、この状況が続くと問題はまた起こります。
工場を日本から海外に移してばかりいると、どんどん日本の工場が減っていきますよね。
そうすると、日本で仕事がなくなる人が増えていってしまうのです。このように海外に工場を移すことで国内の産業規模が縮小していくことを「産業の空洞化」と言います。
円高が進む→産業の空洞化が進む→日本の経済力がどんどん弱まる



日本の輸出業者がそんなに大変なことになるなんて・・輸入業者はどうなってしまうんですか?
では、次は輸入の方面で説明していきましょう。
円高になると今までより少ない円で、海外の商品を買うことができるようになります。
つまり、円高になると今までよりも安く海外の商品を買うことができるようになるため、日本の輸入業者は得をします。
- 輸出企業 → 損をする
- 輸入業者 → 得をする
円安になると起こること
先ほどと同じ例を挙げて説明しましょう。まずは自動車輸出会社の輸出を例を挙げて説明していきましょう。
設定:日本の自動車輸出会社 と アメリカの自動車輸入会社 があるとします。
日本の自動会社が車1台1000万円でアメリカに売っているとします。昨日までは1ドル=100円でした。しかし、今日は1ドル=120円となり「円安」になったとします。
昨日までなら、1ドル=100円としたとき、アメリカは10万ドルで1000万円の日本車を買えますよね。
それが、「円安」になったとき、1ドル=120円になるとアメリカは約8万ドルで1000万円で日本車を買うことができます。
つまり、1ドル=100円から1ドル=120円の円安になるとアメリカは日本車を買うのに今までより、2万ドルも得をするので、アメリカでは日本の商品が売れるようになります。
では、次は輸入の方面で説明していきましょう。
円安になると今までより多くの円を払わないと、海外の商品を買えなくなります。つまり、円安になると海外から商品を買っている日本の輸入企業は損をします。
- 輸出企業 → 得をする
- 輸入業者 → 損をする
日本にとって「円高」と「円安」どっちがいいの?





日本にとって、円高・円安って結局どっちがいいんですか?
それを説明するためには、まずは貿易の話を知る必要があります。
日本は「貿易黒字」の国と言われています。(1980〜2010年までは黒字で、2011年〜1014年は赤字、2015年からは少しずつ回復に向かっています。)
- 輸出額 ー 輸入額= プラス → 貿易黒字
- 輸出額 ー 輸入額= マイナス → 貿易赤字
*輸出額(海外の商品を売って、日本に入ってきたお金)
*輸入額(海外から商品を買って日本から出ていったお金)
つまり、貿易黒字ということは、日本が海外国に対して輸入より輸出をたくさんしているということになります。
ですので、日本にとってはどちらかというと円高よりは円安の方が都合がいいということになります。



???どういうことですか?
日本は輸出に強い国、すなわち、輸出企業が日本産業を支えているので輸出に有利な円安が日本にとってはいいということになります。



じゃあ、円高は良くないんですか?



どちかといえばそうです。ただ、消費者にとってはいいこともあるんですよ。
円高が進む → 日本のお金の価値が上がる →海外のものが安く買えるようになる
ただ、円高が進むと日本国内の会社にとっては困ることも出てきます。それは、円高が進むと物価が下がる可能性が出てくるのです。
「円高」と「物価」の関係


円高が進むと物価が下がる可能性が出てくるということをどういうことか説明します。
円高が進む → 安くなった輸入品が日本にたくさん入ってくる → 輸入品に比べて、日本製の商品が高くなる → 日本製品がどんどん売れなくなる → 日本製の商品を売っている会社は日本製の商品の値段を輸入品に合わせて下がる。
つまり、日本の物価は下がる方向に進むということになります。
ここで注意が必要なのは、少し物価が下がるのは消費者にとってはいいことですが、円高が進みすぎて物価が下がり続けると「デフレ」という大変なことが起こってしまうのです!
物価が下がり続けている状態のこと。略してデフレ。
物価が下がると困ることとは?
輸入品に合わせて日本製の商品の値段を下げたとします。そうすると・・
日本製の商品を売っている店や日本製の商品を作っている会社は値段を下げた分、儲けが減る → 会社の儲けが減ると社員の給料も減る
日本製の商品を売っている店や日本製の商品を作っている会社はたくさんあるので、日本の経済にもかなり影響してきてしまうのです。



消費者にとっていいことも、会社にとっては良くないことが起きてしまいます。しかも結局、給料が減ったら、買えるものも買えないという事態になってしまいます。
まとめ:日本にとって、どちらかといえば円安の方がいい


いかがでしたでしょうか?
今回は、円高・円安の時の「貿易・物価」について説明していきました。円高・円安と言葉だけで聞くと簡単ですが、背景には結構ないろいろなドラマがあります。
- 輸出企業 → 円高のときは損をする。円安のときは得をする。
- 輸入業者 → 円高のときは得をする。円安のときは損をする。
また、日本は「貿易黒字」の国であり、日本が海外に対して輸入より輸出をたくさんしているので、日本にとってはどちらかというと円高よりは円安の方が都合がいいということになるんですね。
円高は海外のものが安く買えるようになるという点においては消費者にとってはいいこともあります。
ただ、円高が進むと日本の物価は下がる方向に進むということになります。
物価が下がり続けると、会社にとっての儲けも減ってしまったり、社員の給料の減額にもつながりかねません。日本経済には大打撃ですね。
円高や円安の背景を知ることで、日本の経済についての理解が深まっていきます。そうすると、FXを勉強する上でもイメージが湧きやすくなり、勉強しやすくなります。



円高・円安について勉強します!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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